子どもの眠りの役割と条件

子どもの眠りは、脳を創り、育て、守り、修復して、よりよい働きを維持する時間でもありますので、極めて大事な時間です。しかし睡眠の時間(長さ)だけが大事なことではなく、それよりむしろ睡眠の時間帯が重要です。心身ともに健康でバランス良く育つ眠りには3つの大事な条件があります。

  • 夜の眠りは夜7時から朝7時までの間に取ること
  • 睡眠時間は夜中に目が覚めることなく持続して9-11時間(平均10時間程度)確保できること。(夜間基本睡眠時間=Nighttime basic sleep duration:NBSDと呼ぶ。)
  • 毎日の入眠時刻と起床時刻がほぼ一定であること。
    (ずれたとしても、前後30分(1時間)程度のばらつきに抑えられること)

よくあるご質問

Q.1息子(3ヶ月)が、新生児のころより長く眠れるようになってきましたが、夜間、ふと目を覚ましたときは、オムツを替え、授乳しています。いつごろまで続ければいいでしょう?
A.1

新生児期は3-4時間ごとの超日リズム※1をもとにしたリズムですが、2ヶ月目に入ると次第に24時間リズム(概日リズム※2夜に眠り、日中は起きて活動する)を身につけていきます。この時期に大事なことは、「夜は眠る時間」であり「食事(授乳)の時間ではない」と教えてあげることです。そろそろ夜間のみ、授乳を控えるようにした方がよいでしょう。

※1:数十分から数時間の周期で営まれるリズムで、新生児期の約3時間ごとの睡眠覚醒リズムや、REM睡眠とnon-REM睡眠の周期がよく知られている。
※2:別名「サーカディアンリズム」と呼ばれ、地球が自転で1回転する24時間を基盤にして、朝になると目を覚まし、夜になると眠くなる体内時計が刻むリズムのこと。

Q.2なぜ夜間授乳をやめなければいけないのでしょうか?
A.2

ヒトの一日の生活リズムは、二つの主時計(中枢時計と末梢・内臓時計)が協力し合って生まれます。この時期、視交叉上核※3中枢体内時計※4は、夜には「眠りと休息」を指令するリズムが完成しようとしています。夜間の授乳は末梢(内臓)時計を動かしますので、二つの大事な主時計から相反する指令が出されてしまうので、適切な中枢時計形成が邪魔されてしまうのです。

※3:左右の脳の視床下部のいちばん深い根底にあり、体内時計の中枢として機能している
※4:全身に存在する体内時計(末梢時計、内臓時計)をとりまとめる役割をする。(夜は眠る時間として、休息を支持している)

Q.3赤ちゃんが夜中に何度も目がさめるのは、おなかが空いているわけではないのですか?
A.3

人の睡眠は「REM睡眠(浅い眠り) 」と「non-REM睡眠(深い眠り)」でひとつの単位となり、この単位がつながって、夜の持続した睡眠となります。小さいうちは、このつなぎ目(REM期)で目が覚めやすくなります。ここで抱き上げたり、授乳をしたりすると完全に覚醒してしまいますので、夜中に何度も目が覚める体内時計が作られてしまい「睡眠持続障害」のもとになると考えられています。自分で再び眠りに戻れるよう、そっとしておいてあげる、せいぜい軽くトントンするくらいで、あまり手をかけないことがポイントとされています。

赤ちゃんも2か月で5,6時間、3ヶ月ごろには6~8時間は睡眠が持続できるようになり、6ヶ月には夜を通して眠る力がついてきます。睡眠の持続力を育むことがバランスの取れた発達を支えることになります。自分でしっかりと睡眠をとるように努力している赤ちゃんを補助してあげるのも保護者の大事な仕事です。

Q.4まだ赤ちゃんなので、眠たくなったら寝て、起きたいときに起きるのでもいいような気がするのですが。
A.4

赤ちゃんは、地球における学校社会生活の送り方を知りませんので、しっかりと教えてあげることが重要です。人間の身体には37兆個の細胞があり、その細胞にはそれぞれにリズムを刻む時計があります。このバラバラなリズムを刻む時計を統合・統率して指揮する中枢時計は、2歳までの日常の生活リズムが作ります。適切な体内時計が適切に作られれば、お子さんの心身の発達がバランスよく加速し、ご家族もあとの負担が少なくなり、日々の生活にゆとりができます。

Q.5睡眠時間はどのくらい必要なのでしょう?
A.5

子どもたちは赤ちゃんのときから小学校低学年まで変わらず、9-11時間(個人差がありますが平均10時間)の夜間睡眠時間を必要としていることがわかってきました。これを「夜間基本睡眠時間」といいます。年齢とともに1日の合計睡眠時間は短くなりますが、それは日中の睡眠(午前睡・午睡)が少しずつ減り、やがて無くなるためで、夜間基本睡眠時間は変わりません。

Q.6夜は何時ごろ寝るのといいのでしょう?
A.6

日本の学校生活(園を含む)に参加するためには、朝6-7時には起きている必要があります。そして、その時間に自分から自然に目が覚めることが大事です。起こされて起きるのは睡眠が足りてないことになるからです。そこで子どもたちに必要な夜間基本睡眠時間の10時間(人によっては11時間)を逆算すると、夜は8時から9時の間に眠り始めれば適切な睡眠がとれることになります。

Q.7朝、自分から起きてくるのを待っていると、どうしても遅くなってしまうので、親の出勤にあわせて起こしていますが、子どもにとってよくないのでしょうか?
A.7

子どもたちは夜間の睡眠が充足していれば、自分から自然に起きることができます。Q.6でお伝えしましたように、起こされて起きると睡眠不足が少しずつたまってしまい、なかなかリズムが整わず、やがて発達にも影響を与えることになります。起きなければならない時間がある場合は、その時間に子どもさんが機嫌よく自分から起きてこられるような入眠時刻を探してあげましょう。

Q.8お昼寝の時間がバラバラです。時間を決めて寝かしつけた方がいいのでしょうか?
A.8

子どもにとって重要な睡眠は夜間睡眠で、昼寝はプラスアルファです。昼寝の時間と時間帯は自然に任せればよいのですが、夜間基本睡眠時間がしっかりしていれば、だいたい同じような時間帯に必要な眠りとなって現れます。7・8ヶ月頃からは午前1回、午後1回、14-18か月頃には午後1回となり、その時間帯は12時~15時に納まるのが適切なリズムです。(それより遅くなると夜の入眠に影響してしまいます。)

Q.9平日は仕事などでどうしても寝かせるのが遅くなってしまいます。週末や休日には朝寝坊をしてもよいのでしょうか?
A.9

子どもたちの身体は、まだ臨機応変に対応できません。いったんリズムが狂うと、元に戻すときにとても負担がかかります。また、夜間睡眠の不足を昼寝や朝寝坊で補うことはできません。睡眠不足が溜まってしまう前に、19時~20時など「早く寝る日」を作りましょう。前倒しは生活リズムに悪い影響を与えません。

Q.10どのような生活リズムが理想的なのでしょうか?
A.10

まずは夜の入眠時間の設定と安定が求められます。夜8-9時に入眠し、途中で目覚めることなく持続して10時間※5の睡眠をとることができ、朝6-7時に自然に自分から目が覚める…というリズムです。日中の睡眠につきましてはQ.8でお答えしたとおりです。

※5:個人差がありますが、だいたい9~11時間で、平均10時間です。それぞれのお子さんの必要な夜間基本睡眠時間をまず知ることが大事です。

Q.11寝つきがよくなくて、苦労しています。
A.11

眠たい時間を通り越すと、寝にくくなるのは大人もよく経験していることだと思います。あるいは、時間帯やリズムにしっくりこないものがあるのかもしれません。Q.5、Q.6、Q.7をご参考になさって、お子さんが気持ちよく起きられる時刻から、お子さんに必要な夜間睡眠時間を引いて、入眠すべき時刻を探してみてください。そして、毎日、30分以上ずれないように一定にしてあげることも大事です。身体がリズムを覚えると楽になります。

Q.12夜間基本睡眠時間はどうやったらわかるのでしょうか?
A.12

入眠時刻を一定にし(夜8時~9時)、夜間に中途覚醒なく持続した睡眠ののちに、お子さんが自分から自然に起きてくる時刻によってわかります。数日間、様子をみてご判断ください。

Q.13いろいろ工夫してみましたが、夜中に何度も長い時間、目が覚めて、本人もつらそうです。
A.13

素質としてメラトニン分泌が低下しているお子さんの場合、ご家族のご苦労にも反応してくれないことがあります。1歳を過ぎてもこの問題が持続している場合は、専門の小児科医にご相談いただくことをお勧めします。現在は、生活リズムを適切に整えるために有効性が高く副作用の少ないメラトベルという生活リズム調整剤(メラトニン製剤)が処方できます。この製剤は、日常生活を適切に整えるだけではなく、全身機能のバランスを調整してくれるので、情緒面、生活面のさまざまな改善が期待できます。

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